スペインで街を歩くと、あちこちからにんにくとオリーブオイルの食欲をそそるなんともいいにおいが漂って来ます。にんにくは潰したり、薄切りやみじん切りにして、オリーブオイルに香りを付けたり、炒めたり、煮込んだりして、スペイン料理に最も多く使う香味野菜です。
スペインの食卓に欠かせないのが、白いんげん豆、ひよこ豆、レンズ豆、そら豆の煮込みです。涼しい地方で良く食べるのはもちろんですが、スペイン中の家庭、バル、伝統料理のレストランで食べられています。 豆はスペイン国内で栽培されています。ワインやチーズと違い、豆の産地や生産者を気にすることはあまり無いかも知れませんが、産地によって形、色、風味は違います。例えば、レンズ豆の皮の色は褐色、緑褐色、暗緑色、黒褐色があり、皮を剥いたものは黄色、赤橙色があります。
アヒージョは、 具材をオリーブオイル、にんにく、赤唐辛子と一緒にふつふつと煮てその風味をつけた伝統料理で、スペインバルやスペイン料理のレストランの定番メニューです。日本では海老やマッシュルームのアヒージョが最もポピュラーですが、スペインでは鶏肉、うさぎ肉も人気です。 スペインのにんにくも、スペインのオリーブオイルも、質、量、ともに世界に誇る農産物ですから、シンプルでありながら、最高の一品になります。
生産量、国内消費、輸出で、スペイン代表は、ケソ・マンチェゴです。スペインの中央部、17州で3番目に広い、大陸性気候のカスティーリャ・ラ・マンチャ地方のラ・マンチャで、マンチェガ種の羊乳から作られるチーズです。土地、羊、チーズの名前が同じです。12~16世紀に繁栄した羊毛産業は化学繊維へ移りましたが、食用、乳業、乳製品として牧羊の価値を保って来ました。
スペインを代表する料理と言えば、パエリャ、ガスパチョ、トルティジャ、があがります。中でも、トルティジャは、日常的に食べている国民食でしょう。どこのバルにも朝・昼・晩にあり、出来立ても、冷めても、美味しいです。美食評論家たちは、スペイン伝統料理のシンボル、食文化のアイコン、宝石と言い、トルティジャを使ったことわざがいくつもあります。1999年からは、美食の地サンセバスチャンで、トルティジャ・チャンピオン大会が開催されています。ソーシャルメディアでは、トルティジャ・クラブなるものに毎日、自慢の写真やレシピがアップされています。