アヒージョは、 具材をオリーブオイル、にんにく、赤唐辛子と一緒にふつふつと煮てその風味をつけた伝統料理で、スペインバルやスペイン料理のレストランの定番メニューです。日本では海老やマッシュルームのアヒージョが最もポピュラーですが、スペインでは鶏肉、うさぎ肉も人気です。 スペインのにんにくも、スペインのオリーブオイルも、質、量、ともに世界に誇る農産物ですから、シンプルでありながら、最高の一品になります。
ほかにもスペイン各地方の特産品や旬の食材のアヒージョがあり、たとえば、貝、蛸、魚の稚魚、白身魚、野菜、きのこ、アスパラガスなどです。肉や魚は仕上げに白ワインやヴィネガーで煮込むものもあり、シェリー酒であれば、スペインならではの風味が香る一皿です。
スペイン語でにんにくはajo(アホ)です。 al ajilloで調理法がにんにくの風味をつけたものであることを表します。 スペインでは 「食材名+アル アヒージョ」 が正式な料理名で、海老なら gambas al ajillo、マッシュルームならchampiniones al ajillo となります。
本場のタパスバルや気軽なスペインレストランでは、直径12㎝くらいの casuela (カスエラ)と言う陶器の皿を、直火にかけてぐつぐつと煮たものが、熱々でテーブルに運ばれて来ます。
タパスバルでは小皿料理ですが、レストランでは鶏肉やうさぎ肉をお皿に盛り付けて、メイン料理として供されることもあります。
作り方はとても簡単で、スペインでは自分の家で料理するのも一般的です。 陶器のカスエラがなくても、厚い鉄の小さなフライパン(スキレットや南部鉄器など)、ホーローのココット、その他の直火対応の耐熱容器で代用できます。海老の殻向きや背ワタを取るのが大変という方には、冷凍海老でも美味しくできます。 缶詰や、スペインバルやデリの調理済み真空パックを買ってきて、容器に移して火にかけたり、湯煎にして温めるだけでも、手軽にアヒージョが食べられ、アウトドアでも大いに活躍します。
日本でも、すっかりおなじみになり、多くのタパスバルやスペイン料理レストランで楽しめます。
日本でピンチョスを拡め、CEJでもご紹介しているL’ESTUDI レ・ストゥディ、BIKINIチェーン店のBIKINI MEDI、BIKINI PICAR、BIKINI 赤坂のジョゼップ・バラオナさんは、著書 『アヒージョ! ajillo!』 (柴田書店)で、アヒージョ風味に合いそう、とイメージできる食材であればなんでもつかえる、と書いています。和食材や創作的なものも含めて、なんと60近いバリエーションのレシピを紹介しています。
バゲットなどのパンや、薄くスライスしてトーストしたパンに、具材をスプーンですくって載せて食べるのがスペイン流です。お皿に残った、にんにくと赤唐辛子と具材の旨味がしっかりと染み込んだオリーブオイルは、パンを浸してきれいに食べるも良し、茹で野菜やサラダや魚のカルパッチョ、パスタや、炊いた白いご飯にかけても相性抜群です。 最後まで余すところなくいただきます。
アヒージョは冷めても美味しく、余ったら翌日のサラダに加えたり、ピンチョスや冷たい前菜としていただけます。
アヒージョの楽しみ方は無限大です。 これからの寒い季節に、あつあつのアヒージョをスペインワインと合わせて楽しんでください。 CEJのホームページには、国内のスペイン料理レストランやバルのリストがありますので、ぜひそれぞれのお店のアヒージョを食べ比べてみてください。
<材料(タパスサイズの小皿1つ分)>
・ オリーブオイル 40ml
・ にんにく 1片(小2片)
・ 赤唐辛子・鷹の爪 1本(小2本)
・ 甘海老 60~80g(8尾程)
・ 塩 適量
・ イタリアンパセリ(葉を刻む)
・ バゲットなどのパン
<作り方>
※ オリーブオイルは、香りがニュートラルな普通の(ピュアな)ものを使います。
※ 「にんにくのオイル風味」 を最大限にするために、にんにくをじっくりと過熱することが決め手です。すぐに焦げてしまわないように、少し厚めにスライスします。芯は取り除きます。 鶏肉やうさぎ肉など、白ワインで少し長めに蒸し煮にするものでは、にんにくはつぶしてもOKで、ホクホクした食感を楽しめます。みじん切りは風味をより感じることができますが、焦げやすいので注意してください。
※ 赤唐辛子は4等分にすれば、オイルにより均等に味が付きます。
※ 加熱に時間がかかる具材は、予め茹でたり、ソテーしたり下ごしらえをしてから、アヒージョにします。ソテーしてフライパンに出た焼き汁も、アヒージョに入れて旨味を全て活かします。
※ オイルの量は、具材が軽く浸る程度で、調理の器により加減します。
※ 火の通りがムラにならないように、大きな具材はカスエラの中で一つ一つ裏返し、小さな具材はよく混ぜます。
※ オイルは常にふつふつと泡立つ状態に保ちます。
※ 火の入りやすい魚介類などは、30秒から1分の短時間で、熱と香りが全体にからむように、火からはずします。