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スペイン発祥パエリア(パエージャ) の基本をご紹介!

本物のパエリアとは?歴史、伝統、そして地域ごとの違い

パエリアといえば、黄色いお米にたっぷりの魚介類を思い浮かべる方が多いかもしれません。でも、パエリアの発祥地であるバレンシアでは、そんなパエリアは「本物」ではないかもしれません。実際、本物のパエリアは少し違ったものなのです。

パエリアの歴史:その始まりとは?

パエリアの歴史は7世紀にさかのぼります。アラブ人がスペインに稲作をもたらしたことで、バレンシアの豊かな稲田を背景に、この料理が誕生しました。元々、鶏肉やウサギ肉、インゲン豆、そしてバレンシア特産のガロフォという豆を使って作られるパエリア・バレンシアーナが、最も伝統的なスタイルです。

もともとは、家族の男性が休日に外で作る特別な料理として知られており、家族や友人が集まるときに楽しむ料理です。バレンシア語で「パエリア」という言葉は「フライパン」を意味し、大きな鍋でみんなで分け合って食べることが、パエリアの醍醐味でした。

パエリア作りの秘訣:火加減と「ソカラット」

パエリア作りで最も重要なのは、なんといっても火加減です。特に外で薪を使って作る場合は、火の強さをしっかりと調整しなければなりません。**「ソカラット」(socarrat)**という、パエリアの底にできるカリカリとしたおこげ部分は、パエリアの真髄ともいえる部分で、多くの人にとっての「ごちそう」です。

パエリアとお祭り:スペインの伝統行事

パエリアは、家族や友達との集まりだけでなく、スペインの大きなお祭りでも主役となります。特に有名なのは、バレンシアで行われる**「ファジャス」**というお祭り。ここでは、巨大なパエリアが屋外で作られ、何百人もの人が一緒に楽しむという大規模なイベントが開催されます。世界記録に挑戦するほどの巨大パエリアが作られることもあります!

「パエリア・バレンシアーナ」の保護

パエリアは世界中で人気が高まり、さまざまなバリエーションが生まれています。しかし、バレンシア地方では、伝統的なパエリアを守るために、**原産地呼称(DO)**が制定されています。これにより、パエリア・バレンシアーナは特定の食材と方法で作らなければならないとされています。この制度は、伝統の味を守りつつ、パエリアが他国でどんな風にアレンジされても、そのルーツを失わないための大切なものです。

パエリアに使うお米:選び方が重要!

パエリアにとって、お米は主役。選ぶお米の種類はとても重要です。スペインでは、**「カラスパラ」「セニア」**という品種がよく使われます。これらのお米は、たっぷりとスープを吸収しつつも形を崩さないので、パエリアの理想的な食感を作り出します。

パエリアの種類とは?

パエリアはスペインの地方によって具材や味が変化します。ここでは、パエリアの種類について詳しく紹介していきます。

バレンシア風パエリア(Paella Valenciana

冒頭に述べたパエリア発祥の地であるバレンシアの伝統料理で、海鮮ではなく鶏肉やウサギ肉を使って作ります。また、現地でバチョケタと呼ばれているインゲンと、ガロフォと呼ばれるの白いんげん豆が入ることが定番です

Paella Valenciana

海鮮のパエリア(Paella de Mariscos)

海鮮を使ったパエリアは、スペインでも定番のメニューです。日本で提供されるパエリアは、この海鮮のパエリアが多い傾向にあります。エビやイカに加えて、ムール貝が入るのが一般的となっています。具材から出る海鮮の出汁が、お米とよく合い食が進みます。

ミックスパエリア(Paella Mixta)

海鮮と肉の両方が入ったパエリアのことで、野菜をふんだんに入れることが多く、最も具沢山なパエリアと言える一品です。家庭の冷蔵庫にあるものでパエリアを作りたい時にも、作りやすいパエリアです。

Paella Mixta
Arroz Negro

イカ墨のパエリア(Arroz Negro)

カタルーニャ地方発祥のイカ墨を使ったパエリアです。イカ墨を使用しているので黒い見た目に仕上がるのが特徴で、ニンニクのマヨネーズソースであるアリオリとの相性が良く、イカやエビを加えることも多いです。

パスタのパエリア(Fideua)

お米ではなく、fideo (フィデオ)と呼ばれる細麺のパスタを使ったパエリアです。スペインの中でもカタルーニャ地方でよく食べられるメニューで、パスタをアルデンテに仕上げるのは、通常のパエリアと同じです。具材としてはエビを使うことが多い傾向にあります。

Fideuá

パエリアの国際的な広がり

パエリアはスペインだけでなく、世界中で愛される料理となりました。日本やアメリカでも多くのレストランでパエリアが提供されていますが、必ずしも本場のレシピに忠実とは限りません。それでも、一部の料理人は伝統を重んじ、できるだけ本物に近い形でパエリアを提供しようと努力しています。また、現代的なアレンジとして、トリュフやフォアグラを使った高級バージョンのパエリアも登場しており、新しい解釈も生まれ続けています。

パエリアはただの料理ではなく、スペインの文化、伝統、そして家族や友人との絆を象徴する特別な存在です。伝統的なバレンシア風から地域ごとのバリエーション、さらには現代的なアレンジまで、パエリアの魅力は尽きません。次にパエリアを食べるとき、その背後にある歴史と文化も一緒に楽しんでみてはいかがでしょうか?

レンシア風パエリアです。審査基準は「味・見た目・おこげ・色・食感」から成り立っています。

2017年には、東京・杉並区高円寺にあるスペイン料理店のパエリア職人が日本人で初めて国際部門優勝という快挙を成し遂げました。その際に1番大事なポイントは、バレンシアにおけるパエリア文化をよく理解しておくことで、それなしには高得点は得られません。いかにスペインが国全体となってパエリア文化を正しく発信しようとしているかをうかがうことができます。