スペインの至宝：ハモン・セラーノ、ハモン・イベリコ、ハモン・デ・セボ、ハモン・デ・ベジョータの違い

スペインの魅力を凝縮したハモンの世界

スペイン料理を語る上で欠かせない存在、それが「ハモン」です。スペインのハモンは、その風味、食感、そして製造過程でのこだわりによって世界中で愛されています。特に日本でもその人気は高まり続けており、多くのスペイン料理レストランで提供されています。この記事では、代表的なハモンの種類であるハモン・セラーノ、ハモン・イベリコ、ハモン・デ・セボ、そしてハモン・デ・ベジョータについて詳しく解説します。

ハモン・セラーノ：スペインの定番

味と食べ方

ハモン・セラーノは、薄くスライスしてそのまま食べるのが一般的です。また、パンに乗せたり、サラダやメロンと一緒に楽しむこともあります。そのまろやかな塩味と風味が、さまざまな料理にアクセントを加えます。

ハモン・イベリコ：贅沢な味わい

ハモン・イベリコは、イベリコ豚という特別な品種から作られます。イベリコ豚は、スペイン南部のアンダルシア地方やエストレマドゥーラやサラマンカ地方で飼育され、自由に放牧されることが多いです。この豚は、黒い皮と細長い脚が特徴で、その肉質は非常に高く評価されています。

種類と違い

ハモン・イベリコは、その飼育方法や餌によってさらに細分化されます。主に以下の3つの種類があります。

味と食べ方

ハモン・イベリコは、そのままスライスして食べるのが最も一般的です。その芳醇な香りと豊かな味わいは、ワインとの相性も抜群です。特にハモン・イベリコ・デ・ベジョータは、そのまま味わうことでその深い風味を堪能できます。

ハモン・デ・セボとハモン・デ・ベジョータの違い

飼育方法の違い

ハモン・デ・セボは、イベリコ豚が農場で飼育され、主に穀物や飼料を食べて育てられます。一方、ハモン・デ・ベジョータは、イベリコ豚が放牧され、どんぐりを主食として育てられます。この飼育方法の違いが、ハムの味わいや風味に大きな影響を与えます。

味の違い

ハモン・デ・セボは、比較的マイルドな味わいで、塩味と豚肉の風味がバランスよく感じられます。ハモン・デ・ベジョータは、どんぐりの風味が脂肪に深く浸透し、非常に豊かで滑らかな味わいが特徴です。そのため、価格もハモン・デ・ベジョータの方が高価になることが一般的です。

プレシントの色とカテゴリー

スペイン市場には、以下の4つのカテゴリーに分類されるハモン・イベリコがあります：

1. プレシント黒：ハモン・デ・ベジョータ100％イベリコ
   黒いプレシントは、100％イベリコ豚から作られたハモン・デ・ベジョータを識別します。親豚が共に100％イベリコ種であり、豚は肥育期間中にどんぐりや自然の資源を食べて育ちます。
2. プレシント赤：ハモン・デ・ベジョータ・イベリコ
   赤いプレシントは、75％または50％のイベリコ種を持つイベリコ豚から作られるハモン・デ・ベジョータを識別します。これらの豚も肥育期間中にどんぐりや自然の資源を食べて育ちます。
3. プレシント緑：ハモン・デ・セボ・デ・カンポ・イベリコ
   緑のプレシントは、100％または75％、50％イベリコ種の豚から作られるハモン・デ・セボ・デ・カンポ・イベリコを識別します。これらの豚は肥育期間中に穀物と野草を食べて育ちます。
4. プレシント白：ハモン・デ・セボ・イベリコ
   白いプレシントは、100％または75％、50％イベリコ種の豚から作られるハモン・デ・セボ・イベリコを識別します。これらの豚は農場で飼育され、穀物を主食として育ちます。

市場には、これら4つのカテゴリーに加えて、スペインの4つの原産地呼称（DOP）に基づくイベリコ製品も存在します。これらの製品は独自のプレシントで識別されますが、色分けは上記の4カテゴリーに準じています。

ハモンの選び方と楽しみ方

購入時のポイント

保存方法

ハモンは風味を保つために適切に保存する必要があります。切り口はラップでしっかりと覆い、冷暗所で保存します。また、スライスしたものは冷蔵庫で保存し、早めに消費することが望ましいです。

楽しみ方

ハモンは、そのままスライスして食べるのが最も一般的ですが、さまざまな料理に取り入れることもできます。パンに乗せてタパス風に楽しんだり、サラダに加えてアクセントを付けたり、パン・コン・トマテのトッピングとしても絶品です。

ハモン・セラーノ、ハモン・イベリコ、ハモン・デ・セボ、ハモン・デ・ベジョータは、それぞれに独自の特徴と魅力を持っています。スペイン料理レストランで提供されるこれらのハモンをぜひ試してみてください。そして、自分好みのハモンを見つけ、その深い風味を楽しんでください。スペインの豊かな食文化に触れる絶好の機会となるでしょう。